OpenAI「Stargate」プロジェクト、Oracle・SoftBankとの連携は順調に進行中


大規模AIインフラ構想「Stargate(スターゲート)」を巡り、SNS上で「共同事業が頓挫した」との一部報道が流れたが、OpenAI、Oracle、SoftBankの公式発表を追う限り、プロジェクトは順調に進行している。むしろ、従来のクラウドモデルを超える、AI企業主導の専用インフラ構築という、業界の地殻変動を感じさせる計画の全貌が明らかになりつつある。ただし、この規模の投資は景気や技術の進歩、規制環境の変化に大きく左右されるため、楽観視だけは禁物だ。

「頓挫報道」の真相と、進む公式発表

先日、X(旧Twitter)上で、OpenAI、Oracle、SoftBankによるStargate共同事業が「人員を集めておらず、OpenAIのデータセンターを構築していない」とする情報が流れた。これを受け、一部でプロジェクトの頓挫が疑われる事態となった。

しかし、OpenAIの公式ブログに掲載されている一連の発表を確認すると、状況は全く異なる。OpenAIによれば、同社とOracleは米国内で合計4.5ギガワット(GW)のデータセンター容量を確保する「Stargate」プロジェクトに関する合意を結んでおり、すでに複数のサイト開発が進行中であるとしている。この4.5GWという規模は、数十万基の最新AIチップを稼働させることに相当し、従来の大規模データセンター計画をはるかに凌駕する。

拡大を続けるStargateプロジェクトの具体像

Stargateプロジェクトは、単一の巨大データセンターではなく、複数の超大型サイトからなるネットワークとして計画されている。OpenAIの公式発表を追うと、その拡張のスピードがわかる。

まず、OpenAIとOracleは、既存の合意に加えてさらなる容量拡張に合意し、総容量を約7GWにまで引き上げる計画を明らかにしている。これは、当初報道された総額5000億ドル規模の投資計画の一部を構成するものだ。

さらに、OpenAIによれば、SoftBankグループとの連携も具体化している。オハイオ州ローズタウンでは、新データセンターサイトの起工式が執り行われた。加えて、両者はテキサス州での新たなStargateサイトの構築についても発表しており、プロジェクトが多地域に同時並行で展開されていることが確認できる。

これらの公式情報から、少なくとも「人員が集まっていない」「構築が進んでいない」という指摘を裏付ける事実は見当たらない。むしろ、着実に用地の確保と開発が進められている状況だ。

なぜ「Stargate」は業界の常識を変えるのか

Stargate計画が従来のクラウド戦略と一線を画す点は、AI開発企業(OpenAI)が主導権を握り、クラウドプロバイダー(Oracle)や投資家(SoftBank)と組んで、自社の次世代AIモデル開発に最適化された「専用インフラ」をゼロから構築しようとしていることにある。

従来のモデルでは、OpenAIのような企業はAWS、Google Cloud、Microsoft Azureといった既存のクラウド上でリソースを調達・拡張するのが一般的だった。しかし、GPT-4やその先のモデルに必要な計算資源は指数関数的に増大しており、汎用クラウドのリソース調達やコスト構造では限界が見え始めている。Stargateは、電力供給、冷却システム、ネットワークトポロジーに至るまで、超大規模なAIトレーニングと推論だけを想定して設計される。これにより、効率性と開発スピードの両面で圧倒的な優位性を獲得しようという戦略だ。

例えば、AIモデルの学習では、数千~数万基のGPUが一つの巨大な課題に数ヶ月間連続して取り組む。Stargateのような専用インフラでは、このプロセス全体を最適化でき、電力コストの削減や、ハードウェア障害時の復旧時間の短縮など、細かい部分でのパフォーマンス向上が期待できる。

投資家と開発者が注視すべきポイント

このような超大型プロジェクトは、当然ながらリスクも伴う。技術の進歩は速く、現在設計中のインフラが完成する数年後には、AIチップのアーキテクチャや効率性が大きく変わっている可能性もある。また、巨額の投資は景気後退や金利環境の影響を直接受ける。規制面でも、データセンターの電力消費や水資源使用に対する地域ごとの規制が強化されるリスクは無視できない。

したがって、関心のあるビジネス関係者やAI開発者は、SNS上の断片的な情報や憶測に一喜一憂するのではなく、OpenAIやOracleなどの公式チャネルからの継続的な発表に注視する必要がある。プロジェクトのマイルストーン(用地取得完了、起工、電力契約締結、第一期完成など)が公表される度に、計画の実現性を測る材料が得られるだろう。

Stargateは、AIが社会基盤(インフラ)を再定義する最初の巨大な実例となるかもしれない。その成否は、OpenAI一社の命運を超え、AI産業全体が今後どのようにインフラを調達し、構築していくかの重要な先例を残すことになる。

出典・参考情報

cloud9 Written by:

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