X API v2で自動返信機能が大幅制限、全アカウント層に適用


X API v2で自動返信機能が大幅制限、全アカウント層に適用

X(旧Twitter)がAPI v2におけるプログラムによる返信機能に大幅な制限を導入した。AI生成スパム対策が目的で、FreeからPro層までの広範な開発者コミュニティに影響を与える一方、大規模なエンタープライズ契約者は引き続き従来の利用が可能だ。これはプラットフォームが「ボットの質」を選別し、コミュニティの健全性を優先する姿勢を明確にしたアップデートと言える。

プログラム返信が可能な条件は「メンション」と「引用RT」のみ

X Developersが公式開発者コミュニティフォーラムで発表したポリシー更新によれば、API v2のPOST /2/tweetsエンドポイントを使用したプログラムによる返信(リプライ)の動作が変更された。新ルールでは、自動返信が許可されるのは、以下の2つの条件のいずれかを満たす場合のみとなる。

  1. 返信先の元投稿の作者(@username)が、返信ツイート本文内で@メンションされている場合。
  2. 返信が、元投稿を直接引用したリツイート(引用RT)の形式である場合。

つまり、第三者の投稿に対して、その作者をメンションせずに自動で返信を投稿する行為は、APIを通じては完全にブロックされる。一方、通常のツイート(返信ではない新規投稿)をプログラムで送信する機能自体には変更はない。

影響範囲はFreeからPro層まで、Enterpriseは対象外

この制限が適用されるアカウント層は広範囲に及ぶ。公式情報によると、Free、Basic、Pro、そして従量課金型のPay-Per-Useプランまで、すべての一般向けAPIアクセス層が対象だ。これにより、個人開発者から中小規模のサービス運営者まで、APIを利用して自動応答ボットやコミュニティBotを運用していた場合、その実装の見直しを迫られることになる。

ただし、例外も設けられている。Enterprise(企業向け)およびPublic Utility(公共性の高いサービス向け)として認定されたアカウントは、この制限の対象外となる。Xがこの線引きをした背景には、信頼できる大規模なパートナーや特定の公益サービスは従来通りに運用を認めつつ、無差別なスパム行為の発生源となり得る一般層のAPIアクセスには厳格な枠をはめる、という意図が読み取れる。

AIスパム対策が背景、ボット生態系に変化の波

今回のアップデートの目的について、X DevelopersはAI生成コンテンツを用いたスパム行為の対策であると説明している。生成AIの普及により、大量の投稿に一見自然な返信を自動で行うスパムボットの作成が容易になったことが背景にあると考えられる。これまではAPIを通じたプログラム返信に特別な制限がなかったため、こうしたボットが野放し状態になるリスクがあった。

この変更により、例えば「特定のキーワードを含むツイート全てに自動で返信する」といったボットの運用は事実上不可能となる。許可されるのは、あくまで「会話に直接参加している(メンションしている)」か、または「元の文脈を明示的に引用してコメントを加える(引用RT)」という、より人間らしい、コンテキストを重視した関わり方に限られる。

結果として、X上のボット生態系は大きな変化を迎える。単純な宣伝やエンゲージメント稼ぎを目的とした低品質な自動ボットは淘汰され、コミュニティ内での適切な会話参加を目的とした、より質の高いボットやユーティリティサービスのみが生き残る環境が整備されていく方向性が示された。

開発者とマーケターは実装の即時見直しが必要

このアップデートは既に適用されている。FreeからPro層のAPIを利用して自動返信機能を提供している開発者や、カスタマーサポート、コミュニティエンゲージメントの自動化を行っているマーケターは、自らのシステムが新ポリシーに準拠しているかを直ちに確認する必要がある。

準拠していない場合、返信ツイートの投稿はエラーとなり、サービスが突然停止する事態も考えられる。対策としては、返信時に必ず元投稿者のアカウントをメンションするようにロジックを修正するか、機能そのものを引用リツイート形式に変更するなどの対応が求められる。あるいは、影響の大きいサービスについては、Enterpriseプランへの移行を検討せざるを得ないケースも出てくるだろう。

Xはエルン・マスク率いる下で「言論の自由の広場」を標榜しつつも、プラットフォームの実用性と健全性を維持するための技術的規制には継続的に取り組んでいる。今回のAPI制限は、その一環として「自由」と「秩序」のバランスを、技術的ポリシーのレベルでどう取っていくのかを示す重要な事例となった。

出典・参考情報

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