スマホカメラの次なる競争軸は「1インチ200MP」へ、ソニー・OmniVision・サムスンが開発中


スマホカメラの新たな主戦場、1インチ級200MPセンサー開発競争が始動

スマートフォンのカメラ性能競争は、センサーの大型化と高解像度化という二つの軸で激化している。そして今、それらを融合した「1インチ級200MP」センサーが、複数の主要サプライヤーで開発中であることが明らかになりつつある。これは単なるスペック競争の延長ではなく、特に低照度環境での画質を根本から向上させる可能性を秘めた動きだ。ただし、現行の1インチセンサー搭載機種で満足しているユーザーにとっては、劇的な変化を感じられるかはまだ不透明な部分もある。

OmniVisionが先行、ソニーとサムスンも追随か

この動きをけん引しているのは、画像センサーメーカーのOmniVisionだ。同社はすでに、1/1.1インチサイズで200MPの画素数を実現した「OVB0D」センサーを正式に発表している。これは、従来のスマホ向け高解像度センサーよりも物理サイズを大幅に拡大したモデルとなる。

一方、スマホ画像センサーの最大手であるソニーも同クラスの製品を開発中との情報が複数報じられている。海外メディアのSMHN.infoや日本のガジェット情報源によれば、ソニーは「LYTIA 901」または「IMX09E」という型番の、1/1.12インチまたは1/1.1インチの200MPセンサーを開発している可能性がある。また、サムスンデバイスソリューションズも、1/1.3インチ級の200MPセンサー(HPC)をテスト中であるとのリーク情報が存在する。

これらの情報は現時点で公式発表されたものではなく、噂の域を出ない。しかし、複数の独立した情報源から同様の開発動向が伝えられていることから、業界全体として大型・超高解像度センサーへの注力が強まっていることは間違いないだろう。

「大型化」と「高解像度化」の両立がもたらすもの

これまでのスマホカメラの進化は、ある意味でトレードオフの歴史だった。センサーを大型化してひとつひとつの画素(ピクセル)の面積を大きくすれば、光を多く集められるため、暗所ノイズの低減やダイナミックレンジの向上に寄与する。しかし、同じサイズで画素数だけを増やすと、画素面積は小さくなり、逆に低照度性能が悪化するリスクがあった。

今回、各社が開発を進めている「1インチ級200MP」センサーは、このジレンマを解消する試みと言える。現行の代表的な1インチセンサー(例:ソニーIMX989やLYT-900)の画素数が50MP前後であることを考えると、センサーサイズをほぼ維持したまま、画素数を約4倍に高める技術的な挑戦だ。これが実現すれば、日中は超高解像度で細部まで写し、夜間や暗所では画素をまとめて大きな面積として使う「画素合成」技術の効果を、従来の高解像度センサーよりも格段に高められる可能性がある。

次期ハイエンド機のカメラ戦争を左右する技術

これらの新型センサーが実際にスマートフォンに搭載されれば、2025年後半以降に登場するフラグシップモデルのカメラ性能は、現在の水準からさらに飛躍すると予想される。競争の焦点は、単にセンサーを載せることではなく、この巨大なデータを高速に処理するISP(画像処理プロセッサ)の性能、発熱対策、そしてレンズ光学系の設計如何に移るだろう。特にレンズは、大型センサーに十分な光を届け、かつスマホという薄い筐体に収めることが従来以上の課題となる。

スマートフォンのカメラは、もはや「写る」から「描く」ツールへと進化の段階を迎えている。1インチ級200MPセンサーの開発競争は、その進化の速度を再び加速させる、重要な技術的布石となる可能性が高い。カメラ性能を最重視するユーザーは、今年後半から来年にかけての各メーカーの発表に、より一層注目する価値があるだろう。


出典・参考情報

cloud9 Written by:

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