Mac Miniと中古Pixelで実現、Telegram経由で複数端末を自律制御するOpenClaw
オープンソースの自律型AIエージェント「OpenClaw」が、一台のMac MiniからUSB接続した複数台のスマートフォンを同時に制御するデモを公開し、ローカル環境でのマルチデバイス管理の新たな可能性を示した。クラウドサービスに依存せず、プライバシーを保ちながら複数端末を一括操作できる点が特徴だが、現状ではroot化など一定の技術的ハードルが存在するため、一般ユーザーよりも開発者や強力な自動化を求めるテック愛好家の領域と言える。
ローカルで動作する自律型AIエージェント「OpenClaw」とは
OpenClawは、MacやLinuxなどのローカルマシン上で動作するオープンソースの自律型AIエージェントだ。公式の解説によれば、Telegram、WhatsApp、Discordなどのメッセージングアプリをチャネルとして利用し、ユーザーからの自然言語の指示を受けて、接続された端末で様々なタスクを自律的に実行する。最大の特徴は、処理がすべてユーザーのローカル環境で完結することであり、データを外部クラウドに送信しない設計となっている。
このエージェントは「mobile nodes」と呼ばれる機能を備えており、これにより複数台のAndroidスマートフォンを同時に制御・管理することが可能になる。1Passwordのブログ記事によれば、OpenClawは以前はClawdBotやMoltBotと呼ばれており、進化を続けているプロジェクトであることがわかる。
4台のスマホを同時制御する実践セットアップ
実際のセットアップ例が公開されている。あるユーザーは、中古で調達した約4台のGoogle Pixelスマートフォン(合計約250ユーロ)を用意し、それらをすべてroot化した。その後、これらの端末をUSBケーブルで一台のMac Miniに接続。Mac Mini上でOpenClawをセットアップし、Telegramボットと連携させることで、一つのTelegramメッセージで4台のスマートフォンの画面を同時に操作できる環境を構築した。
このセットアップに関する別の体験記では、専用のMac Miniを用意し、独立したApple IDを使用して環境を構築する事例が紹介されている。これにより、メインの開発環境や個人用マシンと分離し、実験的なセットアップを安全に行うことが推奨されている。
具体的な使い方と指示の例
ユーザーは、日常的に使っているTelegramアプリからOpenClawボットにメッセージを送るだけで操作を開始できる。例えば、「接続されているすべての端末のスクリーンショットを撮って送ってくれ」と指示すれば、USBで接続された4台のPixelが一斉にスクリーンショットを撮影し、その画像をTelegramチャットに返信する。あるいは、「端末Aでブラウザを開いて特定のニュースサイトを表示し、端末BではそのサイトのリンクをTwitterでシェアする準備をして」といった、複数端末間での連携タスクも自然言語で指示可能だ。
このデモでは、5G SIMを挿した2台の端末も含まれており、モバイルネットワークを通じたアクションもローカル環境から遠隔でトリガーできることを示唆している。あたかも、ユーザー自身が4台のスマホを同時に手に持って操作しているかのような並列処理が、一つのチャットインターフェースから実現する。
想定される活用シーンと従来ツールとの違い
この技術の応用先は多岐にわたる。例えば、複数のソーシャルメディアアカウントを一括管理するソーシャルマネージャー、複数端末を用いたアプリの互換性テストやUIテストの自動化、あるいは家族の複数端末に一括でアップデートを適用するような家庭内IT管理などが考えられる。
従来のクラウドベースのAIアシスタント(例:Google Assistant、Siri)は、音声コマンドで単一デバイスを操作するのが主流で、処理の多くはクラウドサーバーに依存する。また、複数端末をリモートで操作するリモートデスクトップツールは、ユーザーが能動的に各画面に接続して操作する必要があった。OpenClawのアプローチはこれらとは一線を画し、ローカルのプライバシーを保ちつつ、AIエージェントに自律的にマルチデバイスでの複雑なワークフローを実行させる点に革新性がある。
誰が今、OpenClawを試すべきか
現時点でのOpenClawは、その可能性の大きさとは裏腹に、root化されたAndroid端末の準備やMac環境へのセットアップなど、技術的な前提知識を必要とする。したがって、直ちに一般消費者が飛びつくべき完成品というよりは、オープンソース技術の最先端を追いかける開発者、ローカルAIとプライバシーに強い関心を持つテック愛好家、そして業務でマルチデバイステストの自動化に頭を悩ませているQAエンジニアなどが、その可能性を探るのに最適な層だ。
このプロジェクトが示す方向性は明確である。すなわち、クラウドに集中・依存する現在のAIアシスタントの在り方に対し、ユーザーの手元で完全に動作し、データを保持する「ローカルファースト」な自律エージェントの実現だ。4台のPixelを制御するデモは、その未来への確かな一歩と言える。
出典・参考情報
- https://www.youtube.com/watch?v=7UmXs3z3Hks
- https://www.youtube.com/watch?v=dKRJQeGIj_E
- https://milvus.io/blog/openclaw-formerly-clawdbot-moltbot-explained-a-complete-guide-to-the-autonomous-ai-agent.md
- https://1password.com/blog/its-openclaw
- https://blog.gopenai.com/how-i-set-up-openclaw-on-a-mac-mini-f97d1531061e
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