ピーター・ティール氏、ETHZillaの全株式を売却。保有比率ゼロに


著名ベンチャーキャピタリスト、ピーター・ティール氏が、イーサリアム関連企業への投資から完全に手を引いた。米証券取引委員会(SEC)への提出書類により、ティール氏とそのファンドがETHZillaの全株式を売却し、保有比率をゼロにしたことが確認された。これは単なる利益確定を超え、暗号資産市場、特にイーサリアムエコシステムに対する一部の機関投資家の姿勢に変化が生じている可能性を示唆する動きだ。

SEC書類が示す完全撤退

2025年2月17日付で提出されたSEC 13G/A書類によれば、ピーター・ティール氏および彼が共同で設立したファンド、Founders Fundは、イーサリアム関連トレジャリー(資金管理)企業であるETHZillaの全株式を売却した。イベント日は2025年12月31日とされている。同書類は、ティール氏らが実質的な所有比率を0%にしたことを公式に記録している。

この動きは、わずか半年前の状況から一転したものだ。前回の報告時点である2025年8月には、ティール氏とFounders FundはETHZillaの約7.5%、およそ1159万株を保有していた。しかし、その後段階的に売却を進め、今回の提出をもって完全撤退が明らかになった。

株価はピークから95%下落、市場環境の厳しさ反映

ティール氏らの撤退背景には、ETHZillaをめぐる厳しい市場環境がある。複数の金融情報ソースによれば、ETHZillaの株価は2025年8月のピーク時(約74ドルから107ドルの範囲とされる)から約95%下落し、現在は約3ドルから3.5ドルで取引されている。この急激な価格下落は、イーサリアム自体の価格変動や、同社が運営する「イーサリアムトレジャリー」というビジネスモデルに対する市場の評価変化を反映している可能性が高い。

ETHZillaは、企業やDAO(分散型自律組織)が保有するイーサリアム(ETH)などの暗号資産を管理・運用するサービスを提供する企業として2025年8月に再編された。しかし、暗号資産市場全体の調整局面や規制環境の不透明さが、こうした専門サービス企業の評価に直接的な影響を与えていると見られる。

ティール氏の投資判断転換点としての意味

ピーター・ティール氏は、PayPalの共同創業者として知られ、Facebookへの初期投資などで巨額の富を築いたシリコンバレーの重要投資家の一人だ。彼の投資行動は、テクノロジー分野のトレンドを先取りするものとして常に注目を集めてきた。

したがって、今回のETHZillaからの完全撤退は、単なる一企業への投資戦略見直しというレベルを超えるシグナルと解釈する市場関係者も少なくない。かつてティール氏が同社株を7.5%も保有していた事実は、イーサリアムを基盤とした金融インフラ(DeFi)や企業財務の分野に一定の可能性を見出していたことを示唆する。しかし、その後の完全売却は、短期から中期にかけての収益見通しやリスク対効果について、当初の期待が修正された結果と読み取れる。

これは、暗号資産市場が「次の大きな波」を待つ過渡期にあり、流動性や収益性を重視する一部の機関投資家が、より慎重な姿勢に転じている現状を象徴している。ETHZillaのような特定のエコシステムに特化したビジネスは、基礎となるブロックチェーンの成功と強く連動するため、リスクが集中しやすい側面がある。

市場への示唆と今後の展望

ティール氏の撤退が、イーサリアムそのものの長期的な価値を否定するものとは限らない。むしろ、これは市場が成熟過程で通過する「ふるい分け」の一幕と捉えることもできる。投機的資金が退いた後、本当に持続可能なビジネスモデルと実用価値を持つプロジェクトが残る、というのはテクノロジーサイクルで繰り返されてきたパターンだ。

しかし、短期的には、著名投資家の撤退が他の投資家の心理に与える影響は無視できない。特に、ETHZillaへの新規投資を検討していたり、同様のイーサリアム関連企業にエクスポージャー(投資対象)を持っていたりする投資家は、撤退の背景にある詳細な理由(例えば、規制リスクの高まり、収益モデルの課題、競合環境の激化など)をより深く調査する必要があるだろう。

今回の動きは、暗号資産市場が依然として高いボラティリティ(変動性)と不確実性に直面していることを改めて思い起こさせる。投資家は、個々のプロジェクトの技術的な優位性だけでなく、そのビジネスとしての堅牢性、資金調達力、そして市場環境の変化に対する適応力を多角的に評価するフェーズに入っている。

出典・参考情報

cloud9 Written by:

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