OpenClawのnpm更新で認証不具合、agent toolsが動作不能に
AIエージェントフレームワーク「OpenClaw」をnpm経由で最新版(2026.2.19以降)に更新すると、深刻な認証不具合が発生し、既存のツールが完全に動作しなくなる問題が報告されている。オープンソースプロジェクトではあるが、運用環境で利用している開発者にとっては即座に対応が必要な重大なアップデート障害と言える。
問題の概要:無限ペアリングループによる機能停止
GitHubのIssue #23006によれば、OpenClawをバージョン2026.2.19または2026.2.21に更新した後、既にペアリング済みのデバイスでoperator.writeおよびoperator.readスコープが失われる不具合が発生する。これにより、エージェントがデバイスとの認証を繰り返し要求する「無限ペアリングループ」に陥り、結果としてすべてのagent toolsが使用不能になる。
ユーザーからの報告では、更新後にpairing required (1008)というエラーが表示され、それ以前に正常に動作していたセットアップが突然機能しなくなる。この問題は、npmを通じた標準的なアップデート手順で再現性を持って発生している。
根本原因:トークンモード移行と権限問題の複合
公式の議論を総合すると、この不具合の原因は主に2点に集約される。第一に、新しいバージョンで導入されたトークンモードへの移行プロセスに不備があり、既存デバイスのスコープ情報が正しく引き継がれないこと。第二に、sudo権限を用いてnpmアップデートを実行した場合、OpenClaw関連のキャッシュファイルや設定ファイルの所有権がrootに変更され、通常ユーザーで実行されるエージェントプロセスがこれらのファイルにアクセスできなくなることだ。
特に後者のファイル権限問題は、開発環境と本番環境の双方で見落とされがちなポイントであり、不具合の発生をより複雑にしている。単にバージョンをロールバックするだけでは解決せず、システム内に残ったキャッシュや設定のクリーンアップが必要となるケースが多い。
開発者向けの暫定修正方法
GitHubのIssueスレッドでは、複数のユーザーによって検証された暫定的な修正手順が共有されている。まず、OpenClawのgatewayをシステムから完全にアンインストールし、関連するキャッシュディレクトリ(~/.cache/openclaw など)を削除する。さらに、問題の原因となっている可能性のあるデバイス登録情報やidentityファイルを手動で削除した上で、gatewayを再インストールし、デバイスとのペアリングを最初からやり直す必要がある。
ファイル権限に問題がある場合は、~/.config/openclaw ディレクトリなどの所有権を現在のユーザーに戻すコマンド実行が有効だ。これらの手順は、あくまで公式な修正パッチがリリースされるまでのワークアラウンド(回避策)であり、根本解決にはプロジェクト本体からのアップデートを待つ必要がある。
今後の展望と開発者へのアドバイス
現在、この問題はOpenClawのGitHubリポジトリで活発に議論されているが、本記事執筆時点では公式の修正版リリースには至っていない。このため、現在安定してOpenClawを運用している開発者やシステム管理者は、当該バージョン(2026.2.19以降)への更新を当面見合わせ、Issueの状況を注視することが強く推奨される。
新規にOpenClawの導入を検討しているユーザーについては、この認証不具合が解消された安定版がリリースされるまで、しばらく待った方が無難だろう。オープンソースのAIエージェントツールは急速に進化しているが、今回の事例は、特に認証やデバイス連携といったコア機能の更新には細心の注意が必要であることを改めて示している。今後の公式対応により、スムーズな移行パスが提供されることが期待される。
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