Perplexity、金融データ分析機能を正式提供。Bloomberg Terminalの「大衆版」とCEO


AI検索サービス「Perplexity」が、本格的な金融データ分析機能を正式に追加した。月額20ドルの「Perplexity Pro」プランで利用可能で、同社CEOは高額な金融専門端末「Bloomberg Terminal」の「大衆向け版」と位置付ける。個人投資家の情報収集を一変させる可能性がある一方で、プロフェッショナルが求める極限のリアルタイム性や取引機能は備えていない、あくまで「入り口」のツールと言えそうだ。

Perplexity Finance:AIが財務データを比較・要約する新機能

これまでのPerplexityは、ウェブ検索とその結果の要約に特化したサービスだった。今回追加された「Perplexity Finance」機能は、特定の信頼できる金融データベースに基づいた構造化された分析が可能になった点が最大の進化だ。具体的には、株価、財務諸表、主要な財務比率(PER、EPS成長率、ROEなど)を、AIが自動で比較し、平易な言葉で要約して提示する。

例えば、「NVIDIAの競合と財務を比較して」と質問すれば、PerplexityはAMD、インテル、ブロードコムなどの企業を自動でピックアップし、チャートと共に主要指標を並べて表示する。決算報告書の要点を要約したり、特定の業界の企業群をスクリーニングしたりする使い方も想定されている。公式情報によれば、この機能の基盤となるデータは「Financial Modeling Prep (FMP)」というプロバイダーから提供されており、分析と要約の生成にはGPT-4やClaudeなどの大規模言語モデルが用いられている。

Bloomberg Terminalの「大衆版」を目指す

この機能について、Perplexityの共同創業者兼CEOであるAravind Srinivas氏は、金融業界の標準的なプロ向けツールである「Bloomberg Terminal」の「大衆向け版(democratized version)」あるいは「商品化版(commoditized version)」であると述べている。Bloomberg Terminalはその包括的なデータ、分析ツール、通信機能から年間約3万ドル(約300万円)という高額な利用料がかかるが、Perplexity Proは月額20ドルで利用できる。

ただし、複数の外部分析によれば、Perplexity Financeは現時点でBloomberg Terminalの完全な代替となるものではない。Perplexity自身も、リアルタイムの取引執行や、膨大な歴史データに基づく極めて高度な分析、業界関係者との専用通信ネットワークなど、プロフェッショナルが必要とする核心機能は提供していない。むしろ、個人投資家や金融業界の初心者が「迅速な比較と洞察」を得るための、軽量で手軽なツールとして位置付けられている。

具体的な使い方と活用シーン

ユーザーは、Perplexityの検索バーに自然な形で質問を入力するだけで良い。特別なコマンドや複雑な設定は必要ない。以下は想定される使用例だ。

企業の単体分析:「Appleの2023年第4四半期決算の要点を教えて」と質問すると、売上高、純利益、各部門の業績など、報告書の主要部分を要約した回答が得られる。

競合比較:「テスラと主要な自動車メーカーの評価指標を比較して」と尋ねると、時価総額、PBR、負債比率などのデータが比較表やチャート形式で表示され、どの指標で差がついているのかが一目でわかる。

業界スクリーニング:「半導体製造装置業界で、営業利益率が高い企業トップ5は?」といった質問にも、FMPのデータベースを検索し、ランキング形式で回答を生成する。

これらの回答には、元データのソース(Financial Modeling Prep)が明示されるため、ユーザーは情報の裏付けを確認できる。これが、単純にChatGPTなどの汎用AIに財務分析を依頼する場合との明確な違いとなる。

競合サービスとの違いとPerplexityの立ち位置

OpenAIのChatGPT PlusやAnthropicのClaudeなどの有料AIサービスも、ファイルアップロード機能などを通じてある程度の財務分析は可能だ。しかし、Perplexity Financeの特徴は、「検索エンジン」としてのユーザー体験(UX)に特化し、回答生成に用いた特定の金融データソースを常に明示する点にある。これにより、情報の出所が不透明というAIの一般的な課題を一部克服し、金融情報という信頼性が重要な領域で優位性を示そうとしている。

また、従来の金融情報サイトや証券会社のツールは、データは豊富だが、複数の企業や指標を横断的に比較し、洞察を言葉でまとめる作業はユーザー自身が行わなければならなかった。Perplexity Financeはこの「比較と要約」という面倒なプロセスをAIに肩代わりさせることで、情報収集の効率を劇的に高める。

誰が使うべきか?

この機能は、個人投資家や金融業界に興味を持つ初心者にとって強力な味方となる。高額な専門ツールに手を出す前の「下調べ」や、日々の市場情報のチェックを効率化したい層に刺さるサービスだ。また、ビジネスパーソンが取引先企業や競合他社を素早く理解するためのビジネスリサーチツールとしても有用だろう。

一方で、機関投資家やプロのトレーダー、金融アナリストにとっては、既にBloomberg TerminalやRefinitiv Eikonなどの本格的な端末を業務で使用しているため、補助ツールとしての価値はあるかもしれないが、メインのツールとして代替することは現実的ではない。リアルタイムの市場データの深さ、取引プラットフォームとの連携、業界を網羅するコミュニケーション機能など、プロの要求水準には及ばない。

まとめ:AIによる金融情報の「民主化」の一歩

Perplexity Financeは、これまで専門家の領域にあった高度な金融データ分析の入口を、AIの力で広く開放しようとする試みだ。月額20ドルというアクセスしやすい価格帯で、企業比較や財務要約といった実用的な機能を提供する。完全な「Bloomberg Killer」ではないが、個人の投資リテラシーを高め、情報格差を縮める「民主化」ツールとしての意義は大きい。生成AIが単なる会話ツールから、特定領域の専門知識に基づく実用的な分析ツールへと進化する、一つの明確な事例と言える。

出典・参考情報

cloud9 Written by:

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