OpenClawに「つまらない」と苦言? 開発者が提案するAIアシスタントの「脱・企業マニュアル」プロンプト


OpenClawに「つまらない」と苦言? 開発者が提案するAIアシスタントの「脱・企業マニュアル」プロンプト

オープンソースのAIアシスタント「OpenClaw」の回答スタイルが「退屈だ」と感じた開発者が、そのプロンプトを大胆に書き換える修正案を公開し、注目を集めている。これは単なる機能改善の提案ではなく、多くのAIアシスタントに共通する「無難すぎる応答」からの脱却を求める、一つの文化的な挑戦状と言える。ただし、このようなカスタマイズは、安定性よりも個性を求める上級ユーザー向けの試みだ。

「意見を持て、簡潔に答えろ」:提案されたプロンプト修正案の核心

Twitterユーザー@steipete氏が提案したOpenClawのプロンプト修正案は、その指示内容が極めて直接的だ。同氏の投稿によれば、その要点は以下の4つに集約される。

  1. 意見を強く持つこと:「場合による」といった曖昧な表現をやめ、明確な立場を取ることをAIに求める。
  2. 企業マニュアル的なルールの削除:従業員ハンドブックに載っていそうな形式的な規則は全て排除する。
  3. 定型挨拶の禁止:「素晴らしい質問です、喜んでお手伝いします」といった前置きをせず、いきなり本題から答え始める。
  4. 簡潔さの義務化:一言で済むことは一言で答えることを必須とする。

この提案は、ChatGPTをはじめとする多くの汎用AIアシスタントが、リスクを避けるために無意識に採用してしまっている「安全だが無個性」な応答スタイルへの明確なアンチテーゼとなっている。ユーザーが求めるのは、マニュアルを読み上げるようなカスタマーサポートではなく、歯切れが良く、時には辛辣な意見も含む「専門家との対話」のような体験なのかもしれない。

OpenClawとは:カスタマイズ可能なオープンソースAIアシスタント

この提案の対象であるOpenClawについて、公式サイト(openclaw.ai)によれば、これはMoltbot/ClawdBotの後継となる、個人向けのオープンソースAIアシスタントプロジェクトである。オープンソースであることが最大の特徴で、ユーザーはその挙動を定義するシステムプロンプトを自由に書き換え、自分好みのアシスタントに育て上げることが可能だ。

このカスタマイズ可能性が、今回のようなコミュニティによる「理想の対話スタイル」を探る実験を活発にしている。例えば、技術ブロガーのJitendra Zaa氏やYu Wenhao氏は、それぞれのブログでOpenClawの詳細なセットアップ方法やツールの使い方についてガイドを公開しており、一定の開発者コミュニティが形成され、知識が共有されていることがわかる。

実際に使ってみるとどう変わる? 具体例で見る「脱・マニュアル」化

このプロンプト修正案を適用すると、実際の対話はどのように変わるのだろうか。仮想的な例で比較してみる。

【修正前の想定応答】
「ご質問ありがとうございます。プログラミング言語の選択は、プロジェクトの要件やチームのスキルセットなど、様々な要素に依存します。Pythonは汎用性が高く、Goは並行処理に優れています。どちらが優れているとは一概に言えませんので、ご状況に合わせてご判断ください。」

【修正後の想定応答】
「新規のWebバックエンドなら、迷わずGoを選ぶ。実行速度と並行処理の設計が優れており、スケーラビリティの面でPython+Djangoより明確に有利だ。ただし、データ分析や機械学習が主目的ならPythonが唯一の選択肢になる。」

後者は、断定を避けず、具体的なユースケースを示した上で強い意見を表明している。また、前置きの挨拶がなく、回答自体もより簡潔だ。情報を羅列するのではなく、選び抜かれた洞察を提供する「エキスパート」のような振る舞いが目指されている。

誰がこの「改造」を求めるのか? 求められる対話のパラダイムシフト

この提案が刺さるのは、主に技術に詳しい開発者や、AIツールを日常的に使い込んでいる上級ユーザーだろう。彼らは既にAIの基本的な能力を理解しており、次に求めるのは「効率的な情報収集」や「刺激的な議論の相手」である。定型文による時間の浪費や、過度に中和された意見には、むしろストレスを感じる。

一方で、AIとの対話に不安を感じる初心者や、常に中立的で安全な回答を求める一般的な用途では、このような「過激な」カスタマイズは混乱を招く可能性がある。提案者自身も、これは公式の推奨ではなく個人の意見に基づく「改造案」であることを明言している。

この動きは、AIとの対話が「何かを尋ねる」という受動的行為から、「どのように対話するかを設計する」という能動的で創造的な行為へとシフトしつつあることを示唆している。ユーザーは、単にAIを使うだけでなく、その人格や応答スタイルまでも共に作り上げる「共同開発者」になり得るのだ。

まとめ:AIアシスタントは「便利な道具」から「個性的なパートナー」へ

OpenClawに対するプロンプト修正提案は、AIアシスタント開発における一つの文化的な転換点を象徴している。それは、企業のブランドイメージや法的リスクを最小化するために磨かれてきた「無難な応答」から、人間同士の活発な対話に近い「意見の交換」へと、ユーザーが価値を見いだし始めた証左と言える。

オープンソースという土台があるからこそ、このような実験は活発に行われる。もしあなたが、現在の主流AIアシスタントの回答に「物足りなさ」や「紋切り型の退屈さ」を感じているなら、OpenClawのようなプロジェクトで自らプロンプトをいじり、理想の対話相手を塑造してみる体験は、AIの未来を体感する最も刺激的な方法の一つになるだろう。

出典・参考情報

cloud9 Written by:

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